さっぽろ藤野ワイナリー／カフェ＆レストラン Vigne／八剣山ワイナリー／八剣山キッチン&マルシェ

札幌市南区にある2つのワイナリーに注目。ワインの醸造はもちろん、広大な土地を活かした周辺施設も含めてじっくり楽しめるスポットです。ワインと食のペアリングを堪能しながら、土地に根づいたワインを味わってみませんか。

札幌の市街地から車で30分ほどの郊外に広がる〈エルクの森〉。総面積25ヘクタールという広大な敷地の中には、手入れの行き届いたガーデンやレストラン、パークゴルフ場まで揃っており、一日を通して楽しめるテーマパークのようです。一画には畑があり、レストランで使用される野菜とワイン用ブドウがすくすくと育っていました。 山の一部をブドウ畑にして、醸造の免許を手にしたのが今から16年ほど前。少しずつブドウ畑を拡大し、250本だったブドウの木は5000本を超えるまでになっています。〈さっぽろ藤野ワイナリー〉のワイン造りは、いたってシンプル。「人の手15％、ブドウ85％」をキーワードに、ブドウ本来のおいしさをいかに引き出せるかが、鍵だといいます。

醸造から瓶詰めの工程も、すべて自社工房で行っています。酸化防止剤を最小限に抑え、天然酵母で醸造しており、ブドウ本来の力を活かしたワイン造りを行っています。醸造の様子は、2階の店舗から見学できます。

同じ敷地内にある直営の〈カフェ＆レストラン Vigne（ヴィーニュ）〉では、「さっぽろ藤野ワイン」によく合う料理を堪能できます。オリジナル生パスタや自家製の手ごねピザ、ケーキやパフェなどメニューは多数。レストラン2階の席からは、川や森が眺められます。ゆったりと身体が沈み込むソファ席は根が生える居心地の良さです。 山裾から斜面を上がるように作られたパークゴルフコースとガーデン。そして山頂付近に広がるワイン畑。収穫された野菜を使ったランチに、敷地内のワイナリーで醸造されているワイン。いくつもの要素を組み合わせながら、これからも〈さっぽろ藤野ワイナリー〉は進化していきます。

山頂に岩がそびえ立つ八剣山。向かう途中には多くの果樹園が立ち並び、果物を栽培するのに適した土地だそうです。2011年、山のふもとで生まれた〈八剣山ワイナリー〉は、キャンプ場やマルシェを併設しており、ワインだけではなく観光も楽しめるスポットとなっています。

ブドウ畑のすぐそばにある〈八剣山キッチン＆マルシェ〉では、ワインとのペアリングを楽しめる料理を提供。気に入ったワインはマルシェで購入してお持ち帰り、という流れができています。スタッフの近藤翔太さんに人気のワインを聞いてみました。まず上がったのは、スパークリングワイン「ナイアガラブリュット」。2017年にJR東日本の豪華寝台列車「四季島」に採用され、知名度の高い一番人気の商品です。また、辛口で酸味が爽やかな「ポートランドドライ」や、かなり甘口の「北海道恋ワイン」も人気なのだとか。近くの豊平峡ダムのトンネルで熟成させた「ダム熟成ワイン」というユニークなタイプも。そのほかにもワインを造り始めてから10数年とは思えないほど多くの種類のワインを生み出していて、アイデアとオリジナリティを強く感じるのです。迷ってしまう方には、ワインの飲み比べができる「角打ちワイン」がおすすめ。スパークリング以外はどれでも1杯400円（ダムワインは600円）で試飲できます。

2024年2月にリニューアルしたばかりの食事メニューは、“ワインとも合う定食”がコンセプト。最も人気があるのは「豚丼定食」。豚丼に加えて、3つの小鉢と味噌汁が付いてくるボリュームたっぷりのメニュー。丼からはみ出るほど大きい角煮がまるごと1本乗った「角煮丼」も好評だそう。どちらも札幌の「古川ポーク」を使っており、特に脂の甘みがおいしいです。

マルシェにはワインだけではなく、〈八剣山ワイナリー〉で加工された「ジャム」や「ふきみそ」といった加工品や、地域の作家の作品なども並んでいます。小さな道の駅のように楽しく、のんびりと過ごせる場所でした。