作り手に会える、
ギャラリーを訪ねて。
遊木民 /真鍮 闇月創房/ぽすとかん
- 札幌市
手仕事の跡が感じられる地域のクラフトは、見ているだけで心が躍ります。旅の記念に自分に贈るのもいいですし、大切な人へのお土産にしても喜ばれます。札幌市内には、それらの「作り手たち」に会うことができるギャラリーが幾つもあります。地域の素材や伝統を活かしながら、そこに新たな感性を吹き込む現代の作り手たちの「思い」に触れる時間は、きっとあなたの価値観をちょっと変えてくれる体験になるはずです。
若手木彫り熊職人に会える、民芸品店。
札幌市の中心部にほど近い場所に店舗を構える遊木民は、3代続く民芸品の卸問屋です。ここには、次世代として期待される若手木彫り熊職人がいます。木彫り熊といえば、昭和の時代に北海道土産の定番として一世を風靡しましたが、その後人気は急落。しかし昨今、その価値が改めて見直されてきています。遊木民では、多くの人がイメージするような「鮭を咥えたピカピカの熊」ではなく、木目が生かされた無塗装のものや、あえて抽象化されたもの、指先くらいのサイズの小さなものなど、現代の暮らしに取り入れたい木彫り熊をたくさん扱っています。木彫り熊の栄枯盛衰を見てきた店主や、その息子にあたる職人に、さまざまな知識を教えてもらうのも楽しい時間。「古くて新しい」木彫り熊の世界が広がる不思議な空間、一度は覗いてみてほしいお店です。
遊木民
住所 | 札幌市中央区北7条西19丁目-1 |
電話番号 | 011-614-0535 |
営業時間 | 9:30~18:00 |
定休日 | 木曜 |
URL | https://yuubokumin.net/index.html |
北海道を感じる、真鍮のアクセサリー。
真鍮を加工してアクセサリーを創作している闇月創房の工房は、とあるマンションの1室にあります。ここは、space1-15という場所で、さまざまなジャンルのクリエイターが入居しています。多くの部屋のオープン日は週末のみ。平日はそれぞれが創作活動に励んでいるようです。
闇月創房のアクセサリーは、ヒグマや鮭、シマエナガなど、北海道に生息する動物や野鳥などがモチーフ。使えば使うほどに渋く深みを増す素材である真鍮を、糸鋸で1つ1つ手作業で切り出して作られています。その技術の繊細さは、作品を見れば明らか。表面の質感までこだわって仕上げられたブローチやネックレスやキーホルダー。筆者も10年近く愛用していますが、2-3年経った頃からくすんだ独特の光を放つようになり、ますます愛着がわいています。こんなふうに「気づけばずっとそばにあった」というのが、闇月創房の目指すところなのだそうです。ひと味違う贈り物として、北海道外の方にも喜んでいただけること間違いなしです。
真鍮 闇月創房
住所 | 札幌市中央区南1条西15丁目1-319シャトールレェーヴ 203号室 |
営業時間 | 土・日曜のみ営業/11:00~18:00 ※木・金曜日は不定期でオープン |
URL | https://sobo-brass.com/ |
札幌の開拓を支えた、札幌軟石を現代の暮らしに。
ぽすとかんは、旧石山郵便局の建物を活用したカフェ・雑貨・資料館の複合施設。石造りの重厚な建物は、札幌軟石で造られています。札幌軟石とは、支笏湖ができた際に起きた火砕流堆積物が冷え固まった石で、札幌の開拓期、建材として盛んに使われた素材です。寒い北海道では暖房に火を使っていたため、燃えにくい石造りの建物が重宝されたそうです。そんな歴史も含め札幌軟石の魅力を伝えていこうとオープンしたのがぽすとかんです。
ここに工房を構える「軟石や」では、札幌軟石を加工したアロマストーンなどの雑貨に加え、地域の作り手の作品を販売しています。ぽすとかんのある石山地区は、古くから札幌軟石の石切りで栄えてきた土地。今でこそ札幌軟石造りの建物は減ってしまいましたが、残された美しい建物や石切りの文化を守りながら、楽しく伝えていこうという思いで活動されています。「石好き」でなくとも手に取りたくなるような可愛らしい雑貨が揃っているので、隅から隅までじっくりとお土産の品定めをしたい場所です。
ぽすとかん(旧石山郵便局)
住所 | 札幌市南区石山2条3丁目1-26 |
電話番号 | 070-4087-2975 |
営業時間 | 10:00~18:00 ※ニシクルカフェは11:00~18:00 |
定休日 | 火・水曜 |
URL | https://www.postokan.com/ |
遊木民 /真鍮 闇月創房/ぽすとかん
執筆スタッフ
- 片山静香
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帯広市出身。手仕事(クラフト)の取材が大好き。趣味で白樺樹皮のカゴ編みや木彫り熊制作などを楽しんでいます。3児の母として子連れで行けるお店の情報にもアンテナを張っています。