麺から探る、
釧路ラーメンのおいしさの秘密。
三原製麺所
- 釧路市
あっさりとしたしょうゆ味の細ちぢれ麺に、それほど待たずに出てくる提供スピードの速さ。今や北海道を代表するラーメンのひとつとしてその地位が確立されている「釧路ラーメン」。そのルーツはどこにあるのでしょう?釧路で80年以上にわたって製麺業を営む〈三原製麺所〉にお話を伺い、「麺」の観点から釧路ラーメンについて探ります。
戦前から自家製麺を作り始めて。
釧路市内で製麺業を営む〈三原製麺所〉は、昭和11年(1936年)に12月に創業しました。同時期にはほかに30軒ほどの製麺所があったといわれています。当時の製麺業のメインはうどん。三原製麺所も創業当時はうどんを生産していたようです。
自家製のラーメンが完成したのは昭和12年9月。東京に行って本場の作り方を学んだり、自らかん水を作るなど、1年近く研究を重ねて開発しました。出来上がった麺は自転車の荷台に積んで、10キロ以上離れた大楽毛(おたのしけ)まで販売しに行ったといいます。それから戦争の影響を受け、事業は一時中断することに。戦後を迎え小麦の供給が安定し始めると、再びラーメンの製造を始めました。
当時のラーメンの作り方は、北大通の平和市場で店を営んでいた〈九州亭〉からヒントを得ました。〈九州亭〉のラーメンは自家製麺で、「香り、おいしさ、輝き。特上の支那そばである」と、〈三原製麺所〉の創業者・三原萬之亟(みはら まんのじょう)氏は話していたとか。
〈三原製麺所〉のラーメンは、昭和24年に〈九州亭〉に倣って作ったものから大きくは変わっていません。2代目の三原克也さんは「さまざまな添加物を用いていろいろと挑戦してみたものの、初代の作り方が一番おいしかった」と話します。かん水以外の添加物は入っておらず、日持ちしないのが特徴。三原製麺所の賞味期限は1週間と短いのです。「その日に作った商品をその日に売る」。創業者の萬之亟はそう言い続けて、今も社是を「わが社は鮮度の高い食品の製造販売をもって社会に貢献する」と掲げています。
夏でも涼しい釧路だからできること。
「うちの麺が細いとは思わない」という克也さん。札幌ラーメンなど他の麺と比べると細いかもしれませんが、特別に意識はしていないとのこと。おいしい麺を追い求めたら、最初に作り上げた手法にたどり着いて、それが細ちぢれ麺だっただけ。克也さんは「釧路の麺に添加物が少ないのは気候によるもの」だとしています。夏でも涼しい釧路だからこそできる代物。あっさりとした醤油ベースの釧路ラーメンにおいて、添加物を使用しないことはおいしい味を保つことにもつながります。〈三原製麺所〉は、この土地でできる最良の麺を作り続けているのです。 〈三原製麺所〉では1階に店舗を構えており、出来たての麺を直接購入することができます。製造日から3~4日経つとシコシコとした弾力が生まれ、よりおいしくなるそうです。冷やし中華など冷たい状態で食べると、その違いが良くわかるのだとか。釧路に訪れた際はぜひ足を運んで、釧路ラーメンのルーツに触れてみてください。
三原製麺所
- 住所
- 〒085-0015
釧路市北大通3丁目7 - 電話番号
- 0154-22-3712
- 営業時間
- 8:00〜16:30、木曜 8:00~12:00
- 定休日
- 日曜、祝日
執筆スタッフ
- 武田愛花
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北見市出身。趣味は美術館巡りと映画鑑賞。お気に入りの美術館は、札幌の三岸好太郎美術館。最近のマイブームはビーズ刺繍。可愛い糸やビーズがあるとつい買ってしまいます。