和を感じる街角カフェ。

茶房 ひし伊/茶房 旧茶屋亭/茶房 菊泉

  • 函館市

函館には古き建物を活かしたカフェが多い。それぞれに個性がありながら、不思議と共通する「函館らしさ」が感じられるのが良いところ。それは、店主たちの函館への並々ならぬ愛があるから。カフェの物語を紐解いていくと、建物という形と共に残していきたい気持ちと同じくらい、おもてなしや思いやりの心が受け継がれていました。

浪漫あふれる函館リノベーションカフェの先駆け。

石造りの白壁から醸し出されるずっしりとした歴史の重み。茶房ひし伊は大正10年(1921年)に建てられた質蔵を改装し、カフェとして営業を始めてもうすぐ40年。当時は古い建物を利用した飲食店などほとんど存在していませんでした。それまで質屋業として営業していた中での挑戦。本業が下火になっていく中での賭けだったそうです。「いろいろな人から反対されましたが、思い切ってやって良かった」と話すのはオーナーの入村美代子さん。 

1階は洋の雰囲気。2階は小上がりのある和室になっています。着物や小物、骨董品などを扱うアンティークショップも併設。アンティークの椅子やテーブルは、建物の雰囲気にぴったりと合っています。いくら時代が経っても良いものは残るものです。洗練された美しさと、懐かしさが同居するカフェ。カウンターで飲む一杯のコーヒーには、特別な味わいがあります。

茶房 ひし伊

住所函館市宝来町9-4
電話番号0138-27-3300
営業時間11:00~17:00
定休日不定休
URLhttp://hishii.info/index.html

時代の流れを見守り続ける、ノスタルジックな茶屋。

和風の建物の中、西洋風のインテリアに囲まれて抹茶を頂く。「大正ロマン」を感じたいという人は、ぜひ旧茶屋亭を訪れてみてほしい。この建物は、海産商として明治末期に建てられたもの。函館の中心地に近いその立地から、取り壊しの話が出たこともありましたが、「残してほしいっていう周囲の声があって」と、話してくれたのは現在のオーナーの半田まさえさん。子どもの頃から習っていたというお茶の腕前を活かし、茶屋を始めました。

「何かやらなきゃ、という気持ちになるとき、そのきっかけとなるのはいつもお客様からの言葉なんです」と半田さん。この街に生まれ育って、変わりゆく町並みを見続けてきたからこそ、ここに暮らす人々との心のつながりは深い。「歴史ある貴重な建物を守ろうとする動きがあるのは素晴らしいこと。この先は、そこからさらに一歩進んで、残したものをどう活かしていくかということを考えたい」。旧茶屋亭はこれからも函館の歴史を見守り続けます。

茶房 旧茶屋亭

住所函館市末広町14-28
電話番号0138-22-4418
営業時間7月~9月 11:00~17:00、
10月~6月 11:30~17:00
定休日不定休
URLhttp://kyuchayatei.hakodate.jp

建物や、その中に、確かに息づく歴史の呼吸が聞こえる。

大正10年(1921年)築、酒問屋の社長が暮らしていたという民家で営まれる茶房菊泉。当時扱っていた酒の銘柄をそのまま店名に活かす形で、建物の外観にもほとんど手を加えていません。「建物に、ここに居てほしいと言われたような気がして」と言うのは、赤塚さん夫妻。以前、ここで喫茶店を営んでいた知り合いとの縁で、この建物を守ることとなりました。「管理にはお金も労力もかかるけれど、その分、建物が生き返っていく感覚がするんです」。

この建物に以前住んでいたという人が、懐かしげに訪ねてくることもあるそう。「自分たちは建主の末裔ではないので、そういった方々から話が聞けるのもとても楽しい」と笑います。

きちんと手入れの行き届いた和室でいただく、自家製餡や、豆腐白玉。冬には囲炉裏の炎でふわりと暖かい菊泉で、悠久の時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

茶房 菊泉

住所函館市元町14-5
電話番号0138-22-0306
営業時間10:00~17:00
定休日木曜(祝日の場合は営業)

茶房 ひし伊/茶房 旧茶屋亭/茶房 菊泉

執筆スタッフ

猿渡亜美

北海道芽室町出身。大学卒業後、地元十勝に戻り、ソーゴー印刷に入社。十勝の魅力を伝えるフリーマガジン、月刊しゅん編集部を経て、2017年から雑誌スロウの編集に携わっています。明治、大正、昭和の時代を好み、古い建物や道具に関心があります。

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