スロウなパン屋さんを訪ねて。

風土火水/パン香房 こうばしや/ますやパン 麦音

  • 帯広市

ふんわりと漂う香ばしい香り、噛みしめるほどに深くなる味わい。私たちが住んでいる十勝・帯広のパンは、年々レベルが高くなっているように感じます。北海道産はもちろん、十勝産小麦や、日高山脈に由来する豊かな水資源を活用することで風土が感じられるパンたち。そこに店主の思いが加わって、個性豊かになり存在感を増しているのです。

有機小麦粉、水、塩だけのシンプルなパン。

パンの基本的な材料は小麦粉、水、塩だけ。信頼できる生産者が作った十勝産有機小麦と自家製天然酵母「ルヴァン種」を組み合わせて、職人が手作業で生地を仕込みます。その後じっくりと長時間発酵。毎日夜が明ける頃から、薪窯で丁寧に焼き上げています。店内に並ぶパンの種類は多くはありませんが、静かに並ぶ一つひとつが、控えめに話しかけてくるような…。その中からとっておきの一つを選ぶのも楽しいものです。

ひと口食べると滋味深く、何度でも噛みしめたくなる風土火水のパン。余計なものは使わず、シンプルだけど、作り手が真摯に向き合っていることがひしひしと伝わってきます。旅先でいただくのも良いですが、少し寝かせた4~7日目が一番おいしいのだとか。自宅に帰ってからトースターで焼いて味わってもいいですね。

風土火水(ふうどかすい)

住所帯広市西10条南1丁目10-3
電話番号0155-67-7677
営業時間11:00~15:30
定休日日・月曜
URLhttps://fudokasui.jp/

小さな店だから、1人でコツコツと。

小さな店内に並ぶパンはどれもふんわりと柔らかそうな形。「パンは作った人に似るんですよ」と話すのは、たった1人で店を切り盛りする渡辺亜澄さん。2013年に帯広駅からほど近い場所で自分の店をオープンしました。店の名前は、こうばしや。イーストを控えめにして、ひと晩じっくり寝かせた生地で作られます。そうすることでキタノカオリなどの十勝産小麦本来の香りが引き出されるのです。「小さいお店だから、少量多品種で」と、個数は少ないですが、朝から多くの種類が店頭に並びます。中には、気まぐれパンという渡辺さんが思いつきでこしらえるパンも。訪れるたびに違う味に出合えるのも、こうばしやに行きたくなる理由のひとつです。

パン香房 こうばしや

住所帯広市西4条南14丁目19-1 寿ハイツ1F
電話番号050-3577-5848
営業時間10:00~19:00
定休日水・木曜

広い庭と小麦畑に囲まれた、十勝らしいパン屋。

十勝に住む人の中には、おそらく「ますやパン」を知らないという人も、食べたことがないという人もいないでしょう。全店で十勝産小麦100%使用を達成している、十勝のパン屋をリードする存在です。十勝産小麦といってまず思い浮かぶのはハード系のパンですが、ますやパンでは、あんパンやねじりパンなどの菓子パンも地元の小麦粉を使用しているのがすごいところ。そんな満寿屋商店のフラッグシップショップが、麦音店。単独のパン屋としては日本最大の面積を誇ります。休日にはよくイベントが開催されていて、十勝の人にとって麦音は「パンを買いに行く場所」であり、「家族で遊びに行く場所」でもあります。広い庭と小麦畑が広がる、まさに十勝を体現したパン屋が麦音なのです。

ますやパン 麦音

住所帯広市稲田町南8線西16-43
電話番号0155-67-4659
営業時間6:55~18:00
定休日年末年始
URLhttps://www.masuyapan.com/

風土火水/パン香房 こうばしや/ますやパン 麦音

執筆スタッフ

猿渡亜美

帯広市の隣、芽室町出身。日高山脈・剣山のふもとで育ちました。学生時代は歴史学を専攻。特に明治、大正、昭和の時代を好み、古い建物や道具、当時の暮らしなどに関心があります。

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